カルロス・ゴーン:経営幹部の逃亡

 日産およびルノーの経営執行責任者であり上級役員(社長)であったカルロス・ゴーン氏について書いてみたい。

 

 本件の経緯を要約すれば、

2018年11月19日
金融商品取引法特別背任罪の疑いで逮捕
2019年3日6日
百日以上の勾留後、保釈
同年4月4日
記者会見の口封じ狙いにに再逮捕
同年10月24日
再び保釈(かなり異例の対応)
同年末頃
関西空港からプライベートジェットにて逃亡

 

 経緯だけば読めば、ゴーンはけしからんとなり、保釈中に逃亡を許したゴーン被告の弁護人を逮捕しろなどと勇ましいことを言うコメンテーターを支持するのが、どうやら世間的な感情らしい。

 私のスタンスとしては、ゴーン氏の案件は、日産内で対処すべきであった案件であったこと、日本の中世レベルの行政、司法(裁判所は行政組織の一つの部門である法務省出先機関のようなものだと個人的に認識している)を改善するのに良い機会ではないかと思っている。ただし、外圧でしか体制を改められないのは、一人の日本人として悲しくは思っている。

 せっかくなので、異国の地で牢獄されたカルロス・ゴーン逃亡者が体験した、いわゆる人質司法について述べたい。これについて勉強となるのは、同被告の弁護人であった高野氏のブログが参考だろう。

刑事裁判を考える:高野隆@ブログ:人質司法の原因と対策

刑事裁判を考える:高野隆@ブログ:彼が見たもの

 ネットフリックスで、FBIが登場するソープオペラを視聴していればよくみかけるシーンであるが、被告人の取り調べでは、監視カメラで記録され、弁護士が同席のもとで行われている。なので、弁護士が到着する前に被告人に自白させようとするのが、そのドラマの攻防の一つだったりもする。

 それが中世ではないスタンダードな取り調べのシステムであり、高野弁護士が言及する通り、日本のそれはやはり中世レベルだ。

 また、保釈にしても、近代国家では罪を認めた被告は保釈されず拘置期間も懲役期間に算入され、無罪を訴えれば、保釈されるのが一般的なグローバルスタンダードな運用である。日本のそれは、残念ながら、江戸時代のお白州様の裁きになっている。

 次回以降、本件について、海外の反応について書いてみたい。