【感想(ネタの順序立て)】なぜ、あなたの話はつまらないのか 美濃部達宏


【感想(おもしろネタ(共感))】なぜ、あなたの話はつまらないのか 美濃部達宏 - 鳥木ケンのブログ 〜金融系が多め

(前回の続き)

   今回は「おもしろいはなしの組み立て」および「ちょっとしたテクニック」について説明していきたいので、まずは具体例を引用したい。アメリカのレーガン大統領が語ったとされる有名なテレビ演説についてである。

「私が大統領になれた理由は9つある!
まず、ひとつめは、抜群の記憶力!
私は人の話を聞いたら絶対に忘れることはない!
そして2つめは……

2つめは……

えっと……何だっけ?」

     もう一つ具体例を引用したい。テレビ番組、タモリ倶楽部での空耳アワーなるコーナーで安齋肇(あんざいはじめ)がタモリへ語った話である。

「僕は(歌手の)プリンスの大ファンなんですけど、理容師さんに『プリンスみたいにしてください』って言ったんですよ。そしたらですね、理容師さんがプリンスを皇太子様と勘違いして、気づいたら七三分けになっていたんです」

    以下は余談だが、安齋氏のエピソードにつては、私がプリンス自体を知らなかったので、腑に落ちなかった。共感を得るには、世代も意識して、共通認識をシェアできるネタを意識したいと感じた。

   2つの具体例を通じ、著者が伝えようとしているのは「フリとオチ」である。オチだけ伝えても笑いができるのではなく、その前段階で仕込み、フリを聞き手に聞いてもらい、オチが映えるようである。より詳細を引用していきたい。

【ネズミ捕り方式】

   これはネズミ捕りに例えた著者の造語らしい。ネズミ捕りをイメージすれば、ネズミをおびき寄せるチーズがフリであり、ワナがオチを指している。具体例を見ていきたい。

マツコデラックスさんが洋服を仕立ててもらったときのェピソードです。

「パターンっていうのをつくるのよね、洋服つくるときって。でも、普通の方の洋服っていうのは、そんな2メートル四方の正方形みたいにはならないのよ、パターンが。でも私のは、ほぼ正方形だったみたいで…。
(それを見た友人から)『斬新なこたつカバーね』って言われたのよ」

  これは洋服のパターンは2メートル四方の正方形には普通はならないが、マツコ(かなり太った体型の人)ならそうなったのだろうとイメージされる。聞き手に次の展開を予測させ、オチに斬新なこたつカバーと言われるのが、聞き手の予想外な発言に笑いをうながしている。

   これは最初に展開した、テレビ演説やプリンスのトークに類似している。

 

【「なのに」方程式】

  接続言葉としての「なのに」は矛盾した言葉をつなぐのに使われもする。上記のフリオチが効いているトークもこの「なのに」で接続できる。

(フリ)理容師にプリンスみたいにしてほしい

 

              +(なのに)

 

(オチ)理容師さんがプリンスを皇太子様と勘違いして七三分けになった。

  これはたしかに納得できる説明であると思う。聞き手に想定を裏切るため、フリとオチには、逆の内容、矛盾した内容にすればいいと考えられる。ただし、これは日々のトレーニングが必要となる。

【アバン法】

   フリからオチまで順序立てて説明しても、聞き手が集中して聞いてくれるとは限らない。今はスマホがあるので、ヒマさえあれば、液晶画面に視線を落とす人が多い時代である。そこで聞き手の心を掴む必要がある。そこで使えるのがこのアバン法だ。

   アバン法はテレビで面白くない番組でも、番組が面白いのではないかと勘違いさせる手法である。具体例を引用したい。

たとえば兵動さん(話術が達者なお笑い芸人)は、話の本題に入る前に、


「僕はダイエットしては太って、ダイエットしては太って、今、マックス太ってるんですけど……」


「家に電話がかかってきて、受話器を取ったら、『おまえか、コラッ!』って言われたんですけど……」

 

というように、これからどんな話をするのかを、「〇〇の話なんですけど……」という「見出し」にしてから話し始めます。聴き手としては、これによって話の概要が理解できますし、同時に、

「ダイエットのリバウンドを繰り返してどうなったんだろう?」
「いきなりそんな電話がかかってきたのは、なぜだろう?」

と、その発言があとの展開にどう関係してくるのか、まるでドラマの伏線のように気になって、最後まで話を聞きたくなるわけです。

   ドラマの伏線と考えればわかりやすいので、ぜひともネタとして披露できるよう、できるビジネスパーソンは用意しておきたい。

なぜ、あなたの話はつまらないのか?

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