【感想(おもしろネタ(共感))】なぜ、あなたの話はつまらないのか 美濃部達宏

 会話が面白い人とそうではない人に、人間は二分される(当たり前か?)。著者はテレビでお笑い番組の制作に携わり、多くの面白い芸達者な人達と接してきた。その人々の行動様式や、自身がテレビの視聴者へ面白いことを伝えるテレビ的技法を抽出し言語化したのが本書、「なぜ、あなたの話はつまらないのか」である。

 本書で伝えているのは、落語でも漫才でもない、テレビ芸人の話術から、どのようにオチを掴んでいるかについて、そのオチを掴むまでの過程(フリと称される)を仔細に教えてくれている。ビジネスパーソンの会話がアップグレードできるよう、役に立ちそうな箇所を引用していきたい。

 著者は面白い話を構成するに、3つのプロセスが大事であるとする。

 

  1. 「おもしろい話題を見つける」
  2. 「おもしろいはなしを組み立てる」
  3. 「ちょっとしたテクニック」

 

   これらの順を追って内容をまとめてみたい。まずはおもしろい話題をどのように見つけるかについて。おもしろい、つまらないを決めているのは聞き手であり、その判断基準は聞き手が共感するかどうかである。著者は以下のように強調している。

これは大事なポイントです。断じて「自分がおもしろいと思う話=おもしろい話」ではありません。当たり前のことのように思えますが、意外と多くの人がそれに気づいていないのです。そして、「自分がおもしろいと思う話」を「聞き手にとってもおもしろい話」だと誤解して、自分が熱中している趣味の話や、自分が気持良くなる自慢話ばかりしてしまう。その結果、聞き手から共感を得ることができずに、スべってしまうのです。ですから、スべるリスクを減らすためには、まず「おもしろい」の判断基準が話し手である自分ではなく、聞き手の側にあることをしっかり認識することが必要でしょう。

   ではその共感するネタはどこで手に入るかというと、著者はテレビ制作の現場で行われている具体例を持って説明されている。テレビ番組ではグルメ番組が流されているが、ファミレスの食事とミシュラン三つ星店の食事であれば、どちらがより多くの共感を得られるかというと、前者のファミレスの食事になると説明している。たしかに、誰もが経験したことあるし、そこで展開される話題について知っていることが多々あり、内容を理解し共感が得られやすいだろう。共感ネタは食事だけではなく、著者は以下の共感のピラミッドを作って説明してくれている。

 

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   一番大きいのは、家族ネタ。「ウチのオカンは」がと口癖のように毎度毎回、はなしを展開する芸人がいるが、それは聞き手に共感をえられるからに他ならない。

   ではそのネタをどのようにつかむかは、本書により多くの具体例があるので本書を購入していただきたい。

   仮に話題がないときの質問方法としては、次の質問が共感を得られやすい。

「妻にやめてほしいことは」

「子供に言われてショックだったこと」

「学生時代にいた、変な先生」

「ひとり暮らしで怖い体験」

「彼女との修羅場」

「あなたの会社にある変なルール」

   共感が得られやすいネタであり、質問すれば何がしの回答は得られそうである。

   共感がえられるテクニックとして、「情けない話」「たとえば法」「コンプレックス法」とある。

   「情けない話」、「コンプレックス法」はその通り、自分の弱みをさらけ出しす方法なので、色々とネタのストックを作ってみたい。

   「たとえば法」は聞き手が話の内容をイメージしやすく、理解が用意になる。具体例を引用したい。

「会社のパソコンの壁紙を好きなアイドルにしてたんだけど、それを上司に見つかって、すごく恥ずかしかったよ」

という話をしたとします。このとき、すごく恥ずかしい。と言われても、それがどの程度なのか、聞き手としてはイメージしづらいですよね。そこで、よりわかりやすく表現するために、「共感のピラミッド」の「家族」を使って"たとえ"をつくってみましょう。こんな感じです。

「会社のパソコンの壁紙を好きなアイドルにしてたんだけど、それを上司に見つかっちゃってさ。おふくろにHな本を見つかったときみたいに恥ずかしかったよ」

ただ「すごく」と表現するよりも、ずっとわかりやすく、ユニークに伝わりますよね

    もしこれが仕事の場での説明としよう。

(変換前)「スマホは、アプリケーションソフトの開発のためにAPI仕様が公開されているけれ
と、ガラケーはそれが公開されていないんだよ」

(変換後)「スマホはカクテルみたいなもので、いろんなお酒や果物を組み合わせることで自分好みの味にできるけれど、ガラケーはビールとか日本酒とか、ひとつの味しか楽しめないんだよ」

   引用は重要なエッセンス部分だけを抽出させてもらった。具体例を読むと、かなりイメージがついたと思う。これは仕事の場でも使えると思う。

   次回はおもしろ話をどのように組み立てるか、どのようなテクニックを使っているかを説明していきたい。

(続く)

なぜ、あなたの話はつまらないのか?

なぜ、あなたの話はつまらないのか?