【書評】自分を開く技術 伊藤壇
著者の伊藤壇氏は、各国のプロサッカーリーグに一年だけ所属することを信条に、各国で外国人プロサッカープレーヤーとして20年近く活躍されている。
この著書の素晴らしいところは、海外放浪記のような自伝などではなく、いかにプロのサッカー選手として、自分の価値を高く相手にディールをさせるか?ディール後のアフターケアがいかに大事であるか?この本は海外と仕事のやり取りをする機会のあるサラリーパーソンこそが読むべきであろう。
この著書を読んで、私が興味を持てたのは、著者が外国の地でどのようにサッカーリーグのプロとして契約を゛まとめた゛か?いかにその契約を゛履行゛させるか?の2点の主張が強く印象に残った。私なりにトピックをまとめると以下になる。
- 外国で物事を決めようとする場合、自分の持っているコネクションを使い一番条件の良いものを選ぶ
- 自分が契約相手からキープされている状態だとわかり、なおかつ相手にある程度インパクトを与えていると踏んだ場合、他のチームのトライアルへ移ることを伝えて相手の本気度を測るようにする
- 相手が求めているものを探る方法。それは答えを人に聞くこと。がっかりするかもしれないが、 人が人を選ぶ仕組みである以上、秘策はない。
- 契約が守られるようにチェックし戦う 。自分で獲得した権利は、なにがなんでも自分で守るという気持ちで行かないと、いいカモにされてしまう。
- 姑息な相手には、毅然として臨む。
- 最悪の状況を想定して、危機管理すること。例えば、荷物には必ずダイヤルロックをする
- いついつに帰国すると相手に話すと、給料をピンハネしたり、払わなかったりする。絶対に自分の手の内は見せないこと。また、敷金は取られるものと考え、最終月の家賃を払わない
この著者の経験からくる主張を読むと、どこか拍子抜けする面もあるかもしれないが、いかに契約を取り付け、履行させるか?我々がやるべき原理原則はこのようにシンプルなものになるのだなと改めて学ばさせていただいた。