【書評】決断=実行 落合博満

 社会人からプロスポーツ選手としは決して若くはない年齢で日本のプロ野球選手としてのキャリアをスタート、現役時代には三冠王を三度も獲得し、名実ともに偉大な成績を残し引退、中日監督時代の10年間、一度もチームを4位以下の成績でシーズンを終わらせることなく、リーグ優勝、日本一までも獲得、選手としても、マネージャーとしても圧倒的な成績を残した落合博満氏。

 その彼が、中日監督時代の経験などを通じて学んだ組織論について、本書「決断=実行」で記されている。

 正直、この手のプロスポーツ選手が書いた(実際、口述内容をもとに、ゴーストライターが内容をまとめた)本というのは好きではない。

 ただ、私は、この落合氏が以前だした「采配」という、ビジネスマン向けに書かれた本を立ち読みし、彼の出来るビジネスマン的な思考に驚いた。特に、未だに印象に残っているのは、中日監督として球団と交わした契約に対し、ドライなまでに合意は拘束の原理原則を忠実に履行し履行させるその姿勢、思考にである。このエピソードを読み、私は欧米系の投資銀行部隊に所属する連中(クソほど仕事ができる、人間としてクズなサイコパスな連中)を彷彿(ほうふつ)させられた。その「采配」については、日を改めて書いてみたいが、今回は「決断=実行」について、まず書いてみたい。

 本書を読んだ読者であれば、「最終決定権は誰が持つべきか」の章を読み、自分が所属する、所属した組織の誰かを思い浮かべ、笑いながら本章を読み進めてしまったでしょ?「どこの組織にでもいるんだな、こうゆう奴は!」と。

 私も同じ顔をしながら、同時に、どのように対処したのだろうかとワクワクしながら読み進めたが、落合氏の解決策、対応策は示されていなかった、どこにも。もしかしたら、どこか別の野球チームを皮肉ってる章だったのかもしれないが、それにしても拍子が抜けてしまった。

 ただ、この章に対する落合氏の答えというか、対処法は、今回、改めて「采配」を読み直し感じることができた。私の独断と偏見として感じるところではあるがとエクスキューズは付くが、彼の対処策は、そんな奴はユニフォームを脱がせろということだろう。

決断=実行

決断=実行

 

 

采配

采配