【感想(続き)】一生、同じ会社で働きますか? 山崎元

https://trikiken.hatenablog.com/entry/2019/09/05/114732

(前回からの続き)

 転職は、主たる取引先の変更だということを述べた。今回は、具体的な転職方法や気持ちの整理について、本書を引用しながらまとめていきたい。

 まず、転職を始めるにあたり、転職エージェントを使うケースを想定する。この場合、エージェントが信頼のたる業者であり、人物であることはもちろんのこと、補足として山崎氏は次のように述べている。

どんなヘッドハンターと会っても構わないと思うが、自分の詳しい事を話したり、履歴書を渡したりする前に、相手が信用できるかどうかのチェックが必要だ。また、完全に防ぐことは難しいかもしれないのだが、ヘッドハンターを通じての情報漏れについても注意したい。外資系の会社などでは、マネージャーが部下の動静を調べるのに、気心の知れたヘッドハンターを使うことがある(筆者もやったことがある)。自分の転職計画や今後のビジネスプランなどを話すのは、何度も会ったことがあって、信頼できる人物でないとまずい。

 エージェントと面談時、前のめりにレジュメを出してくれと、くどいほど催促されたこともあった。彼等彼女らの売上は、転職者を会社に入れさせてフィーが発生するものなのであり、自身の成果を第一に行動するインセンティブが強く、どこか信用に足らない人も多い。

 さらに、先方から連絡があった場合でも、山崎氏が指摘する通り、意地の悪いことを仕掛けてくるケースもあるので少し注意といったところか。

 次に引用したいのは、エージェント経由での転職に関するヒヤリハットである。履歴書(レジュメ)の取り扱いについて、ある程度、我々にコントロール権がないと困るという話。

次に、レジュメを企業側に提示するかどうかについて、個々に確認して、こちらの指示に従ってくれるようでなければ困る。料金前払い型でないヘッドハンターは、名前や所属会社などを伏せた形のレジュメで、人材を企業側に紹介することが多いのだが、これは名前が伏せてあっても、企業側で個人名が特定できることがある。また、自分でアプローチできる先については、ヘッドハンターを介さない方が好都合なこともあるので、レジュメの提示についてコントロールが効く相手であることが大切だ。乱暴な業者の場合、ダメモトであちこちにレジュメをばらまくことがある。

 このダメモトでレジュメを乱発するのは、けっこうあるあるだなと感じた。単純に、自分が良いエージェントに出会えなかったってのもあるけども。個人的な体験として、グループ会社へレジュメを撒くのは止めてくれよ、それぐらいは把握してくれよと思うことはあった。

 最後に一つ、注意事項を引用したい。これは当たり前の話でもあるが、エージェントが自分の業界やその知識について有しているかということ。

自分の業務分野に関連するヘッドハンターの知識だ。たとえば、金融・証券業界に対して仕事をしているヘッドハンターでも、株式のことは知っていても、外国為替デリバティブのことは詳しくない、といった具合に、業務分野の得手不得手があることが多い。自分の業務分野についてよく知らないヘッドハンターだと、相手に対して的確に自分のことを伝えてもらえない可能性がある。もちろん、企業側に対する食い込み方(端的に言って、営業力なのだが)の差もある。とくに、実際に職を探す時は、こちらの仕事を正しく理解していて、取り扱い案件数が多いヘッドハンターに頼みたい。

 経理分野に特化しているというだけで、すべての業種の案件をカバーしてる(自称)転職エージェントという輩もいるので、当たり前ではあるが、当該エージェントの業務分野に関する知識は要注意。

 エージェントに関し、個人的に面白いと感じた話がある。彼等彼女らは会社の人事情報を当該社員よりも早く仕入れているケースが多々あること。又聞き話ではあるが、ある執行役員候補が、自身の次の異動先をヘッドハンターに尋ね、ロンドンであると言われ、大きくヘコんだという逸話を聞いたことがある。要は、エージェントの腕次第では、会社の重要事項の情報を取得できるまで食い込めることがある。決して、エージェントは(当たり前だか)敵ではなく、利用すべき存在であることがわかると思う。

(続く)

一生、同じ会社で働きますか?

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