【感想】一生、同じ会社で働きますか? 山崎元

 転職回数12回、経済評論家であり、現在、楽天証券経済研究所客員研究員をやりながら投資教育を行う会社を経営、一般向けに多くの投資についての書籍(ネット動画広告に度々登場する詐欺師連中ではなく、低コストのインデックス投資を推奨する投資術)を書かれている山崎元氏。

 私が、ビジネス"マン"とは呼称のせず、ビジネス"パーソン"を使うように心がけているのも、山崎氏の言葉遣いを参考にしているからだ。

 世間的に、低コストのインデックス投資を長期投資として推奨されるようになったのも、山崎元さんをはじめとする多くの識者の方々が口酸っぱく主張してきたことが、やっと実を結び始めたものであると思う。これについても、いつかブログに書いてみたい。

 今回の著書は、転職回数12回(主に金融機関を転々とした)を数える山崎氏が、自身の体験から、転職に関する心構え、気持ちの整理から実際のHow toについて述べられている。特に、本書で言及されている、転職の際、やってはいけない事を知ると、これでしくじってしまった人は多いのだろうなと感じさせられた。転職について悩んでいるビジネスパーソンも多いだろうから、本書を引用しながら、要点をまとめていきたい。

 本書の中で、目から鱗が落ちるように、自分の中の転職の考えを刷新してくれたのが、次の記述についてである。

自分というものを、「自分の仕事」を商品として販売する一つの会社のような存在だと考えてみよう。すると、普通の会社員の場合、勤務先の会社は、「自分の仕事」という商品を買ってくれる主たる取引先のようなものである。通常は商品を継続的に購入してくれるありがたい取引先が、勤め先の会社と言うことになる。

 サラリーパーソンである自分を個人商店に置き換え、その労働力を勤め先の会社が取り扱っているという、自分を商品、会社を取引先とする考え方である。そして、転職はあくまでも主たる取引先の変更を行うという考えである。

 この考えを知ると、転職という会社から会社を移るという、ただ所属先を変更するという従来の概念ではなくなる。

 そしてこの考えをビジネス的な観点で見直すと、いかに自分という労働商品が一社だけの取引先に依存しているかという事実を、より可視化してくれる。

 自分という労働力を提供する自分株式会社と言う名の小企業で思考実験してみたい。そして自分株式会社の先行きについて、どうなるかを考えてみよう。

 

  1. 自分株式会社の商品は、自分の労働サービスのみ
  2. 納入先は一社のみ
  3. 長期取引(終身雇用)を見越し、自分株式会社のオフィスをローンで購入(住宅ローン)

 

⇒結論、こんないい加減な経営をひている零細企業は潰れるであろう。

 

 思考実験と銘打ったが、従来から言われている、終身雇用をロールモデルとしたサラリーマンはやってけないという言説そのまんまの結論を、少しアプローチを変えて述べただけである。

 この言説から不安にかられ、よくわからない株式投資で大損をこいたり、副業と称するネットワークビジネス詐欺に騙されたり、商材ビジネスのカモになる人が後を立たないから困ったことだが。

 次回、この転職は主たる取引先の変更という考えをもとに、具体的な転職での活動方法や心構えについて、本書を引用していきたい。

(続く)

一生、同じ会社で働きますか?

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