【感想】デキるヤクザの人たらし交際術 相手に気づかれずに「心を操る」禁断ワザ100  上野友行

 人たらし、人脈術と自己啓発と称する、粗雑濫造(そざつらんぞう)されたコピペ本を本屋のビジネスコーナーではよく見かけることがあると思う。

 この本は、そのようなお上品なビジネスコーナーではなく、ヤクザ関連エリアに棚ざらしにされていた書籍である。

 著者の名は上野友行、暴力団、裏社会をメインフィールドとするジャーナリストであり、風貌もヤクザそのまんまなお仁である。

 暴力団関係のジャーナリストとして有名どころでいくと、溝口敦、鈴木智彦の両氏が一般に膾炙(かいしゃ)されていると思われ、私はこの上野智之氏を本書で知ることとなった。

 この分野の大御所ジャーナリストである溝口、鈴木の両氏が述べるところの暴力団関係者は、一重に、一般人が思う任侠道映画に登場するようなヤクザは存在せず、ただただ弱い人間を喰い物にするさまを、淡々と冷めた筆致で突き放しながら語ってくれている。

 この二人の著書を読み、取材対象者から自身の身を守り距離を取りながらも、ときに危険を侵し情報を取得する術を知ると、反社会的勢力とは付き合ってはならないことを強く教えてくれる。それは、決して我々には到底真似できない、厳しい取材を経てのものを提示してくれているからだ。

 翻(ひるがえ)って、口は悪くなるが、本書を読んだ印象としては、この著者は、二人の先輩ジャーナリストと比べ、どこか取材対象者との距離を見誤っているようにも感じられる。勝手な想像ではあるが、著者は多くの便宜を暴力団関係者から受けてしまい、既に返しきれない借りを作ってしまっているのではないかとさえ心配してしまう。

 逆説的に捉え直すと、著者はジャーナリストながらも、暴力団関係者に近いのだと思う。そのため、本書では、我々が知り得ない、ヤクザがシノギを捕食するさまを垣間見ることができる。

 そしてそのさまを覗くことは、我々自身が身を守ることにも繋がる、と同時に、ビジネスの場でも利用することができる(悪用厳禁)、そんな情報が本書では随所に記述されている。

 その内容について、本書を引用しながら、記述していきたい。

(続く)

デキるヤクザの人たらし交際術 相手に気づかれずに「心を操る」禁断ワザ100

デキるヤクザの人たらし交際術 相手に気づかれずに「心を操る」禁断ワザ100