【感想(続き)(心を動かす編)】デキるヤクザの人たらし交際術 相手に気づかれずに「心を操る」禁断ワザ100  上野友行

https://trikiken.hatenablog.com/entry/2019/08/27/120658

(前回からの続き)

 前回は、ターゲットとする人物と初対面時、ターゲットに自分の印象をどのようにして残すか、その具体的な振る舞いについて書いた。

 今回は、その1歩先として、相手をどう動かすかについて、気になった箇所を、以下にピックアップしたい。

 シチュエーションとしては、大物と知り合う機会があり、どうのようにして相手側からもう一度会いたいと思わせるか。相手のこころを動かす術についてである。

 

  1. 偶然を装った知人を仕込む
  2. パンフレットをこぼす
  3. 商談中に携帯を鳴らす
  4. 商談中に部下を叱る
  5. 空気を入れる

 

【1.偶然を装った知人を仕込む】

 このテクニックは詐欺師のそれだなと思ったが、方法としては、落としたい大物と合う機会がある場合、ひとかどな人物から自分とターゲットがいるところで話しかけさせ、「その節は大変お世話になりました。〇〇さんのおかげで、会社が助かりました。」と演技を打つこと。これで、相手に自分は相応の能力があるヤツとみなさせる。

 これは相当あくどい。しかしながら、不動産営業で、見込み客をつかめない営業マンが、売れない劇団員を見込み客風に見せかけ、上司を騙すという話もあるので、結構、使える方法なのか?

 

【2.パンフレットをこぼす】

 この方法は、上記の仕込みよりは優しい手法であると思う(倫理観の是非はここでは問わない)。やり方は簡単、パーティー系のパンフレットをこぼし、「実は知り合いのモデル事務所のヤツから、信用できる男を紹介しろと言われているんです。」のように、男のスケベ心を刺激し、相手に女を紹介してもらえるかもと思わせる方法とのこと。あざといが、これは騙される方が悪いか?

 

【3.商談中に携帯を鳴らす】

 これは商談中にワザと携帯電話を机に置き、商談途中で鳴らし、中座、帰り際に、このようなセリフを相手に伝えるというもの。

「本日は私の母の手術でしたが、弟から無事、上手くいったと連絡がありました。今日、〇〇さんとお話ができ、私の中では忘れられない日となりました。ありがとうございました。」

 よーゆーわ。

 

【4.商談中に部下を叱る】

 商談中、部下の粗相を叱りつけ、相手から止めてもらう。もしくは、そこから「大変申し訳ありませんでした」と、三文芝居で乗り切るやつである。これは自分も似たようなことをしたことがある。確かに使えるが、相手となる部下に何度も同じことをさせると、緊張感がなくなるので、やるとすれば半年に一回とか、部下にも緊張感を持った状態にしておくのが肝要。

 

【5.空気を入れる】

 この方法については、本書を直接引用したい。実際のニュアンスが伝わるからだ。状況としては、ヒットマンを使わせるため、どのよう部下を動かすかというシーンである。

 そこで親分たちはどうするか。その者が自らの意志で動きたくなるよう、「空気を入れる」のだ。「実は俺も組織をそろそろ次に議ろうと思っている。上(上部組織)からはAを二代目にと言われているが、どうもあいつは口ばかりで信用できない部分があってな。俺はお前に期待しているんだが、お前を上に押すにはどうしても手土産が必要だ....わかるな?」
「そう、まさに空気を入れられた風船が自ら浮かび上がるように、あることないこと吹き込んで、その気にさせるのである。もちろん、「煽り立てる」「踊らせる」というニュアンスが強いが、ハッパをかけてやる気にさせていることに違いはない。
 相対的な上下関係に支配されているヤクザ業界。だが、親分はここぞという場面ではあえて「命令」をしない。その意味を推して知るべし、だろう。

 「今日は天気が悪いな」の一言で、隣町の組長を襲撃するという逸話か創作の伝説を聞いたことがあるかもしれない。この引用文を知ると、その手口について、何よりも人を動かす術について、ビジネスパーソンは知ることができるだろう。

 以上が、ビジネスパーソンにも使える(のか?)、相手の心を動かすテクニックについてである。それ以外にも気になった箇所があったので、メモ形式に、五月雨式に記載する。

 

  • 若手を「〇〇似の佐藤」と関連づけて名前を覚える方法。似てる似てないは関係なく、記憶を呼び起こすキーワードとする。若手とのコミュニケーションにもなる。
  • 評判の悪い人物とは会ってみること。悪評が立つのは、できる人間であることもあり、人が寄ってこないときに自らが会いに行くのは、「青田買い」にもつながる。
  • 相手の人物評を確かめる方法として、「こんな親分の下につけて幸せだな」と人物評を確かめたい人物の部下に話しかけ、相手の反応を見極める。もしくは、ワザと親分を皮肉って、部下がどのように反応するかを確かめてみる。 
  • 粋な酒の飲み方として、忙しいふりをして、一軒のお店て飲み、お釣りを取らずに次の店へ回ること。それを3軒と回れば、単純に三万円で自分の顔を売ることにつながる。また、気に入ったキャバ嬢には、直接チップを握らせず、店のママにチップを渡しておくように頼むこと。
  • 口の軽いやつに、「〇〇が大失態を演じたと聞いたけど、本当か?」と質問をすること(必ず、質問型で話しかけること)。口が軽いやつは、情報通を演じたいがために、あることないことを吹聴してくれる。
  • マメに女と連絡を取る(美人は浮気する男と付き合うから、ブ男でもこの方法にチャンスがあるとか(笑))。「ランチで〇〇を食べてる」「仕事でここにいる」と写真付きで送る。寝る前に、女は好きな男のことを思い浮かべるから、お休みメールを送る。反応がなくても、根気よく、何ヶ月も送り続けること。そのうち、心を許す、油断する瞬間が訪れる。ビジネスでも、同じ手法として、飲みに行きましょうと一ヶ月に一度、一年ぐらい続けていれば、そのうち反応があるかもしれない。
デキるヤクザの人たらし交際術 相手に気づかれずに「心を操る」禁断ワザ100

デキるヤクザの人たらし交際術 相手に気づかれずに「心を操る」禁断ワザ100