【感想(続き2)】人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの   松尾豊

【感想】人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの 松尾豊 - 鳥木ケンのブログ 〜金融系が多め

【感想(続き)】人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの 松尾豊 - 鳥木ケンのブログ 〜金融系が多め

(前回の続き)

 人工知能、AIといえば、グーグル社の検索エンジンで使用されるアルゴリズムを連想してしまう人は少なくはないと思う。例えば、ネット検索した際、画面の横に表示される広告、YouTubeで検索後に表示されるオススメ動画とかのイメージだろうか。

 私個人での、体験的な、人工知能、AIとすれば、グーグルマップで表示される飲食店などの日本語のコメントを英語に変換できたときには驚かされた。その訳語も、口語訳としての軽やかなニュアンスを、英語にもかかわらず醸し出していたため、翻訳機能向上にとても驚かされた記憶がる。

 また、文字画像を読み込み、テキスト文字へ出力してくれるGOOGLE LENSを使用した時には、格別な感覚を味わされた。GOOGLE LENSが登場する以前、文字画像の読み込みは人間によるマニュアル作業以外にやりようがなく、音声入力ま試していろいろと格闘した記憶があるからだ(この音声入力自体も、かなり革新的なサービスであることには間違いない)。今では、気になる書籍のページの画像を取り、ただGOOGLE LENSを使用して、テキスト文字へコピペすればいいだけなのだから楽でしょうがない(そのかわり、画像を取る作業、コピペする作業、それを校正する作業は残っている。ああ、メンドクサイ)。

 ビジネスの分野でも、いままで書類を電子データとして手入力されていた作業(パートや窓際社員がやっているあれ)が、画像読み込みで自動に入力される。これらに代表される、いわゆる画像認識について、著者は以下のように述べている。

ウェブの登場以降は、自然言語処理機械学習ががっちりタッグを組んで進んできた印象がある。ところが、最近のブレークスルーは、画像認識の分野から起こった。したがって、ここでは画像における機械学習を例にとってみよう。

   画像認識の向上は目覚ましい。google lensのみならず、google photoでの画像識別による画像、動画の分類仕分けの機能にも驚かされるが、どうやらこの分野でのブレークスルーがあったようだ。

 本当はもっといろいろと本書を引用し、この分野でわかったことを書きたいのだが、本書を読んでネタバレをしすぎても悪いので、ここまでにしておきたい。個人的に、衝撃的だった箇所を一箇所だけ引用したい。

 ニューラルネットワークを語る時に登場する特徴量(いろいろと論文を漁り読んでみてほしい)について、著者は次のようなエピソードを語っている。

1998年ごろ、私は、 自然言語処理で有名な黒橋禎夫氏(現在、京都大学教授)の自然言語処理の授業を受けていた。日本のこの分野の研究に多大な影響を与えている研究者だ。自然言語処理だけでなく、データベースやプログラミングの話も多くて楽しかったのだが、機械学習の長い解説が終わった後、黒橋先生は「ま、手法はいろいろあるんですが、結局、いい特徴量をつくるのが実は一番大変で、人間がやるしかないんですけどね」とさらっと言った。その言葉に、私は頭を殴られたようなショックを受けた。私がずっと考えてきたことをあっさり言われたからだ。

 本書を読んで、やはり、今回の人工知能は"ブーム"なのだなと、少し残念に思った人はいるかと思う。要は人間を介在させない限り、人間様のが欲するシステムにならないということに。