【感想】数に強くなる 畑村洋太郎

 失敗学の提唱者である畑村洋太郎氏、下のリンクにある通り、失敗は成功の母となるべく、あらゆるサイエンスの世界での失敗事例を収集、分析し、同じミスを繰り返さないよう、成功へと導けるよう、失敗学会を立ち上げ、運営に携わられている。

失敗学会 は 事故 不祥事 など過去の 失敗 や 事例に学び、解決を考える 失敗学 を実践する

 また、東日本大震災での福島原子力発電所の事故について調査、政府事故調査委員長も歴任され、この失敗をサイエンスする分野のパイオニアである。

 その畑村洋太郎氏が、数に強くなる方法について記載しているのが、本書「数に強くなる」である。では、数に強いとは何か?著者は次のように述べている。

では、「数に強い人」とは一体どういう人のことを言うのだろうか。筆者が考える「数に強い人」とは、次の2種類の人である。まずは、物事を数量的によく考えることができて、しかも覚えておくことができる人である。こういう人は、物事の全体像がキチンと頭の中に入っていて、その全体像との絡みで数を考え、覚えられる。次に、物事から数を引き出して、自分の実現したいことの道筋にその数を乗せ、加工し、発展させることができる人である。

 この記載だけだと、抽象的で分かりづらいかもしれないが、いろいろな問題、課題を数量的に把握し、問題解決に導けるようにすることと、私は理解している。具体例を見れば、彼が実践していること、主張さていることを理解できるから、次に面白い問題を引用したい。

 さて、仮にあなたが就職の面接会場に行き、目の前に面接官がいるとする。その面接官から次の質問をされたら、何と答えるか?一緒に考てはしい。

「あなたはこの部屋に来るまで、階段を何段登ってきましたか?」

 私はこの質問に、畑村氏の意図する回答をすることができた。飲み会の席で、友人とかに同じ質問をしてみた場合、結構、根拠のない数字を出してくる人が多くてビックリした記憶がある。答えは次の通りである。

中を見渡してみると、天井の高さは3メートルくらいに見える。ということは、地面から自分の足下までの高さは3メートルである。階段の段差が何センチなのかは知らないが、いくらなんでも10センチでは低すぎる。といって30センチなら、足を上げるのに難儀だろう。そこで、段差は25センチだと仮に考えた。ならば、全部で15段である。

 正解は15段と誤読した人はいないと思う。正解は15段という仮説を提示する思考のプロセスが1つの正解、あくまでも正解としてのone of themである。

ここが大事である。「作る」という動作ができるかどうかを見ていたのである。「たとえ知らなくても、作る努力をしなくてはいけない。必要な数は、見たその場で作れなくてはいけない

 次回、必要な数を作る考え方について、本書を引用していきたい。

数に強くなる (岩波新書)

数に強くなる (岩波新書)