【感想(ゲームとしての恋愛)】セックスと恋愛の経済学 マリナ・アドシェイド


【感想(需要と供給)】セックスと恋愛の経済学 マリナ・アドシェイド - 鳥木ケンのブログ 〜金融系が多め

(前回の続き)

   本書はポリティカルコレクティネス的にも、セクシャルハラスメントとしても、大幅にアウトな内容を取り扱ってきた。ここで引用するのは、誰とでも気軽に話せそうな内容を引用して終わりにしたい。ただし、本ブログで記載された内容を他人に伝え、どのような結果になろうとも、すべての結果は自身で負うことをお忘れなく。

シグナリング

  シグナリングとは、相手を取引に取り込むために確かな情報を伝える能力のこと。例えば、送り手がコストのかかる情報を送ろうとしたら、受け手は本気であることが伝わります。これを出合いサイトでも応用する方法があるとのこと。

ある仮想出会いバーティーでは、デートを申し込む定型文のメッセージを最大10人に送ることができます。バーティー終了後、メッセージを受けた人は4日後までにその申し込みを受けるか拒むかを決めます。参加者はデートの申し込みの本気度を示すために1人2束まで仮想バラを送ることができます。全てのメッセージにバラを添えられるわけではないという意味でバラは高価です。となるとやはり最も興味を持った相手にこそ贈ったのでしょう。バラを贈ると、デートの申し込みが受け入れられる率はバラ無しの申し込みに比べて20%増しと大きく向上しました。そしてこのバラ作戦は、メッセージの送り手が受け手よりも魅力的な場合に最も効果的になりました。他の条件を一定として、受け手よりも高い魅力格付けである送り手がバラを添えると、申し込みが受け入れられる率は50%も高くなったのです。

    一手間かけることはやはり意味はあったのだ。しかしながら、出会いサイトで必ずしもバラを送れるサービズがあるとは限らない。その場合はどうすればいいかというと、自分なりのシグナリングを考え出すしかない。本書では、相手のプロフィールを読んだことがわかるよう、それに基づいたメッセージを送ることが例題としてあげられている。この事例は何か他のことにも応用ができそう(でしょ?)。

【一夫多妻】

   一夫多妻制度は、結婚できない男をあぶり出さないための、社会を安定化させるための制度であると認識されている。それ以外にも別の要因があるのではた考えられている。

 一妻多夫、一夫多妻のいずれかを選ぶくらいなら、拒んでいっそ売春婦になった方がよいと考える女性がいるから、というものです。

 何を暴論をと考えがちだが、もう少し読み進めていただきたい。

 既に見たように、一夫多妻制にすると多くの男が未婚のまま取り残されます。取り残された独り者男もやはりセックスはしたいので、既婚女性と密通するのでもなければ(当然していますが)、残されている唯一の選択肢は買春です。このため一夫多妻制が広まると売春婦への需要が増し、サービスの値段はつり上がっていきます。すると結婚しているよりも売春婦になった方がよいと考える女性が増えます。だから一夫多妻制の社会では売春婦の割合が増え、またそんな社会では一妻多夫が滅多に両立しないことになります。セックスの価格が上がれば女性がいそいそと妻の座を捨てて売春婦になるという考えは不埒に聞こえるかもしれませんが、スティーブン・レイヴィッドとスディール・アラディ・ベンカテッシュはシカゴの売春を調査して、7月4日の独立記念日という売春の書き入れ時になると、普段は売春していない女性が需要増大に対応して市場参入することを明らかにしています。

 それもそうかもなと読むと思えてしまうだろう。また別の話として、中国では一人っ子政策で男が余っているので、風俗産業が儲かるため、中国の女性が結婚するメリットを放棄しているとも記述されている。人間って、結構、合理的なんだと感じる。

 

セックスと恋愛の経済学

セックスと恋愛の経済学