【感想(ポジティブ・トリガー2)】妻のトリセツ 黒川伊保子


【感想(ポジティブトリガー)】妻のトリセツ 黒川伊保子 - 鳥木ケンのブログ 〜金融系が多め

(前回から続き)

 今回も引き続き、男性が彼女や妻と良好な関係を維持できるよう、女性脳へプラスに働くポジティブトリガーとなる事例をいくつか紹介する。同時に、ネガティブトリガーについてもいくつか紹介していきたい(本書はあくまでも、脳科学としての知見ではないことに留意ください)。

 まず、以下の引用文を読み、女性脳の特性を感じてみよう。女性がちやほやされたい、依怙贔屓(えこひいき)されたいその理由を。

(引用者注記:女性が)ちやほやされたいのも同じ理由。誰よりも優先されるということは、自分と自分の子どもの生存可能性が確実にアップする。女性脳は、自分と自分が大切に思う人のことを最重要視し、愛情と時間を注ぎたい、究極のえこひいき脳なのだ。だから、いつもどんなときも相手を思うことを、愛の行動だと信じている。残念ながら男性脳が向かっているのは、自分よりも、世界や宇宙。「自分の気持ち」に関心がないから、自分の身内=妻にも関心が向かない。妻を自分の近くに感じれば感じるほど、 関心は薄れていく。それが男性脳だ。

 では女性に自分に関心が向かっていると感じてもらうにはどうすればいいか?前回のブログに書いた記念日を作りすぎるのも難しい。しかし、ちょっとした工夫の仕方はある。

【ふだんの、何もない日】

結果よりも、プロセスを重視する女性脳は、夫や家族のために、毎日繰り返し行う家事を大切にしている。「ありがとう」と言うのが難しい夫は、妻が継続してやってくれ ていることに対して「君がずっとしてきてくれたことをちゃんとわかっている」と伝えよう。伝えるタイミングとして、一番言いやすいのは、やはり結婚記念日。わざとらしくなく、10年なら10年分の、20年なら20年分の来し方を振り返ることができるからだ。記念日の朝、「君の味噌汁を飲むのも、もう20年になるんだね」としみじみ言ってみてほしい。妻の脳裏には、これまで何千回と繰り返してきた、味噌汁を作るシーンが思い浮かぶ。「君が僕のためにずっとずっとやってきてくれたことを、僕はちゃんとわかっている」というメッセージは、どんな愛の言葉より、妻の心に響く。

 また繰り返し、記念日での正しい立ち振る舞いについて紹介されている。ここで気づいてほしいのは、日々、あなたの彼女、妻が、あなたや子供のために行っている日々のタスクについてだ。大抵は家事が該当するであろう。ここで、ふだんの、何もない日に「いつものこと」、「いつものタスク」がたまたまなかった日に、このように伝えてみよう。

いつも弁当を作ってくれる妻が、忙しくて作れなかった日に、帰宅してから「君の弁当を楽しみに会社に行ってたことに気づいたよ」と言う。

いつもコーヒーを淹れてくれる妻の代わりに自分でコーヒーを淹れて飲みながら「やっぱり君が淹れてくれるコーヒーのほう美味いんだよね。なんでだろ」と言う。

ポイントは、「君がいつもやってくれている、それ」がなくなったら、僕は途方に暮 れてしまうとアピールすることだ

 何じゃそりゃと思うが、どうやらそれがポイントらしい。簡単にできるから、すぐにやってみよう。

Don't think, FEEL!

 

【メール(事実)】

 なんでもない事実をラインしてみよう。例えば出張中であれば、「今、名古屋駅を通過中」と、ただそれだけだ。

 こんな連絡がきただけで、女性は頭の中で色々と都合よく変換してくれるらしい。

たとえば、出張帰りの新幹線から「今、小田原通過。満席」で十分。男性脳の得意な「事実」だけ。それを、女性脳は勝手に「小田原を過ぎたから、もうすぐ家に帰れるよ。もう今日はクタクタだよ。君の顔が早く見たいな」と翻訳してくれる。

車窓から撮影した面白い雲の写真1枚でもOK。受け取った妻は自分も空を見上げな がら、「今この瞬間も君のことを考えていたよ」と翻訳する。

「久々に君のカレーが食べたいな。あのひき肉と豆が入ったやつ」なんて、しばらく食卓に上っていない妻の得意料理をリクエストするのもいい。こんなメッセージが来た ら、女性脳は嬉しくなる。

キーマカレーか。じゃあ、ひよこ豆買って帰らなきゃ」と、今晩カレーを囲む家族の姿を思い浮かべて、その段取りを楽しむことができるからだ。さらに、自分が料理に心を込めていることをちゃんとわかってくれていて、リスペクトしてくれているのだから、好感度はぐっと上がる。

 嘘みたいだか、これが本当(マジ)らしい。「どこにいても、君のことを思っているよ」という気持ちを伝えられれば、我々のミッションは達成となるらしい。昔の(チープな)格言で、男は背中で語れはウソ、大嘘。ただ、口ベタを隠してるか、性格がチキンで自分の主張ができてないだけだったのだ。

【オウム返し】

 しかしながら、返信に困るラインが届くこともあるだろう。その場合は、オウム返しが有効。やり方は次の通りとなる。

「バスがなかなか来ない」なら「〇〇行きのバスはよく遅れるよね。お疲れさま」。

「雨降ってきた。嫌だな」なら「雨だね! 気をつけて帰ってね」

と、妻の言葉をオウム返しにすればいいだけだ。これは共感を何よりも大切にする女性脳が日常的に使っているメソッド。「バスが来ない」というメールに「朝は道が混んでるからね。明日はもっと早く家を出ればいいんじゃない」なんてアドバイスを返すより、情報量はゼロでも心の通信は繋がる(はずだ)。

 著者はオトコ心を判ってらっしゃるためか、繰り返し、繰り返し、男は女へアドバイスをするなと主張されている。多分であるが、コンサルティングで男サイドの顧客と接しても、どうしても男の反応はアドバイスを出してしまうシーンをたくさん見てきたのだと思う。著者が口酸っぱく主張しているので、同じミスを繰り返さないようにしよう、なぁみんな!!

【定番の幸せお菓子】

 妻を喜ばせるのなら、手土産を買っていこう。決して高価なものを持っていき必要はない。さらに、普通の日に渡すのがポイントになるとのこと。記念日てもない日に、彼女や妻を気にかけていることを伝えることがポイントとなる。百貨店のデパ地下などに軽く足を伸ばして、そこで買ってきたもので全然構わない。ちょっとしたプレゼントのために足を伸ばしたという、そのプロセスを女性に感じさせればいいのだ。

 もう一つは、会話の中で言及された商品があれば、それを買ってくればいい。「君がこれが好きと言ってたから買ってきたよ」と伝えればいい。過去の何気ない会話を気にかけてくれた気持ちが伝わるから。

 さらにもうワンステップ上のお土産があふ。

「定番の幸せお菓子」なるものを一度設定しておくと、これからも避けられない 妻との数々のバトルの際に、強力な武器になる。ここで、その作り方を説明しよう。

①「定番の幸せお菓子」は、○○のミルクチョコレートとか、 のクリームキャラメ ルとか、口口屋のあずきバーのように、コンビニや近くのスーパーなどで手軽に買えて、それ自体も定番であり、いつもあるものを選ぶ。

②「これ昔から好きなんだ。食べると幸せな気持ちにならない?」と言いつつ、妻にもすすめて一緒に食べる。

③その際に、妻が幸せな気分になれる昔ながらの定番お菓子も聞いておく。 

④気の利く妻なら、ときどきそのお菓子を買っておいてくれるようになる(はず)。当然、妻の好きなお菓子もときどき買って帰ろう。

⑥定番のお菓子は、デートのとき、旅行に行くとき、家でくつろいでいるときなどにいつもあるようにしておく。

以上がふたりが幸せな気分になれる「定番の幸せお菓子」の作り方だ。もともと互いに好きな定番お菓子がある場合は、もちろんそれでかまわない。

 この「定番の幸せお菓子」を設定すると強力な武器になる。あなたが仮に喧嘩した場合、これを持っていって仲直りのきっかけづくりにしていく。

【愛の言葉(時と場合を選べ)】

 好きである気持ちを伝えるのは大事だ。それで男がチョイスする言葉は「君が一番好きだ」と言いがちだが、女性からすると「2番目は誰?」と高度な分析をしてしまう(なんて厄介な?!)。もし伝えるとすれば、次の言葉にしよう。

 

  • 「一緒にいることに意味がある。そんな女は君だけだ」

  • 「自分にとって、君が オンリーワンの女だ」

 

 何て人たらしな言葉なのだろう。

 ただし、時と場合を選んで、この言葉は使わなければならない。喧嘩した翌日に、このような言葉を使うのは白々しいし、そのような嘘はすぐにバレる。

 

女性を褒めるのは、本人が幸せな気持ちでいるときが鉄則となる。

 忙しくて、朝からバタバタしている時に、できあいの朝ごはんを前に褒め言葉を出そうが、イヤミと感じられて、ネガティブトリガーを新たに生み出すだけだ。

 褒め言葉を、マイナスをプラスにするための道具として使うのは、戦略としてはイケてない。幸せなとき、つまりプラスの上にプラスを乗せれば、その効果は予想以上に大きくなる

(ネガティブトリガーへ続く)

妻のトリセツ (講談社+α新書)

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