【感想(ネガティブ・トリガー)】妻のトリセツ 黒川伊保子


【感想(ポジティブ・トリガー2)】妻のトリセツ 黒川伊保子 - 鳥木ケンのブログ 〜金融系が多め

(「ポジティブ・トリガー2」からの続き)

  今回は、多くの男が踏んでしまっている女性の地雷、ネガティブ・トリガーについて説明していきたい。まずは、女性脳の機能について、もう一度おさらいしてみよう。

女性脳の、最も大きな特徴は、共感欲求が非常に高いことである。「わかる、わかる」と共感してもらえることで、過剰なストレス信号が沈静化するという機能があるからだ。それによって、怖かった、悲しかった、痛かった、寂しかった、惨めだった、辛かったという神経回路のストレスが軽減される。逆に共感が得られないと一気にテンションが下がり、免疫力も下がってしまうのだ。

 女性同士の会話は、この共感の輪を広げる行為にほかならない。男側だから見れば何も面白くない行為であるが、これには次のような根拠がある。

もう一つ、共感は女性脳にとって知的行為の核でもある。先述したが、女性脳は、体験データ(記憶)に感情の見出しがついているので、ある感情が起こったとき、その感情の見出しをフックにして、類似の体験データの数々が、芋づる式に一瞬で引き出される。面白いのは、他人の体験であっても、共感して感情の見出しがつけば、自分の体験と同じように扱える点だ。他人の体験談を「とっさの知恵」に変えるのが、共感という行為なのである。つまり、女友達が、「階段でつまずいて、転びそうになった怖さ」に共感すれば、自分が同じようなつま先の細いパンプスを履いて駅の階段を下りるときには、無意識のうちに手すりのわきを行くことになる。オチのない話が、明日の自分を救うのだ。男たちの言う「女の無駄話」が、子どもたちを危機から救い、夫の将来の介護に役立つ。女の会話に「無駄話」はないのだ

 オチのない話が、明日、未来の彼女らを救うことになるのだ。

 男が女友達として接するのであれば、「オチのない、ささやかな体験話(小さな愚痴や発見)」をプレゼントすればいい。相手からそのような話があれば、しっかりと共感すること。共感するフリで大丈夫。

男性は、自分から話題を提供するのがかなり難しいので、最初は、ひたすら共感することから始めるといい。もちろん、心から本当に共感できなくても大丈夫。共感するフリでいい。

たとえば、帰宅するなり、「○○(子どもの名前)が、寝かせると泣くから、ず~っと抱っこしていて、腰が痛くなった」と訴えられたとする。その場合になんと答えるべか。

 ここで質問が出てきた。あなたなら何と答えるか?まず、あなたが頭の中に浮かんだ回答はすべて間違いで間違いない。キッパリ、毅然(きぜん)と断定する。正しい解答を導けるわけがない。ではどうすればいいのか?

妻が求めている正解は、「一日中、抱っこしてたの?そりゃ腰だって痛くなるよ。本当に大変だったね」だ。解決策は必要ない。

あとは、「今日一日がどんなに大変だったか」を「うん、うん、わかるよ」「ひゃ~、 そりゃ大変だ」と頷きながら聞いていればよい。

 共感のフリをするのはつかれるが、それを演じているというプロセスを伝えられればいいのかもしれない。

【挽回方法】

 ネガティブ・トリガーを踏んでしまったときの挽回方法は何か?結論から言えば、それは無い!存在しない!残念ながら。。。

 もしあちらが過去の出来事を思い出してはブチギレているとしよう?それがつい先日でも、何年前であろうと、傷ついているのは今、この瞬間の出来事として、心にダメージを負っているのだ。

 

 それに対する、正しい対処法は、この一言。

 

「君に心細い思いをさせてしまって、本当にごめん」

 

 ただそれだけだ。

 

【教育方針の激突】

 子供の教育方針、家を買うか否かについて、それはどのように対処するべきか?意外ではあるが、そのままビジネスプレゼンを行えばいいらしい。やり方は以下の通り。

  1. 双方の提案に対して、お互いにメリットとデメリットを挙げる

  2. 実際に調べて検証する

  3. デメリットを回避する消極的なメリットではなく、互いのゲイン(手に入れられるもの)を示す

  4. 以上を踏まえて、結論を出す

 ここでポイントなのが、妻側のデメリットだけを主張して終わらせないこと。必ず、何か得られるかという強いものを提示すること。具体例を上げてみる。

  1. 公立に対して偏見があるのかもしれないので、夫婦で希望する私立だけでなく公立の - 小学校も見学に行く。校長先生などに話を聞く。周りの環境も見る。
  2. 実際に公立、私立に子どもを通わせている友人、知人に話を聞く。公立の一番のメリ ットは近所に遊び友達がいること。私立では、夏休みなどに遊び相手がいない。 デメリットは、教育水準が希望している私立に比べて劣る。中学受験、もしくは高校 受険が必要。
  3. 男として、息子が将来別の場所に暮らしていたとしても、帰ってきたらみんなが集まる、そういう地元のテリトリー作ってやりたい。そのためにも、せめて小学びは自宅近くの公立に通わせると提案。
  4. 夫婦で、公立小学校の周囲にある公園で、多くの男子小学生が楽しそうに遊ぶ様子も見学。

以上を踏まえて、妻が十分に納得した上で、長男の公立小学校入学を決めた。

 めんどくせえなぁ。

 

【名もなき家事】

 女性が抱えるストレスには家事の業務負担がある。大体の男が認識する家事とは、女が認識する家事の中で末席に位置されるイージーモードな家事のone of themだとか。

 子供を出産すると、さらにやるべきタスク、名もなき家事が増える。ただし、男がそれらをすべてやろうとしてます、女性脳を有していない限り、ストレスはその3倍だとか。代替して行えるのは次の行為となる。

夏の昼時、妻がそうめんをゆでていたら、「こんなに暑い中、台所仕事は大変だよね、ありがとう」と声をかける。休日に一緒に買い物に行ったら、「牛乳1本だって、赤ちゃんを連れてたら、運ぶの大変だよな。いつも一人で頑張ってくれてありがとう」と言う。「うちは、小さな子がいるのに、本当によく片付いてるなあ。おふくろなんって、しっちゃかめっちゃかだったよ」なんて、この際実母を悪者にしてもいい。何でもね

ぎらい、感謝する。何もできない妻でも、「笑顔でいてくれて嬉しいよ。ほっとする」とねぎらう。とにかく、ねぎらい、感謝する。毎日じゃなくていいのである。毎日じゃ、かえって嘘くさい。月に一度だって、かま わない。ぜひ、心がけてみよう。

 やるべきことが多くて、うんざりした男性、新米パパも多いと思う。注意が必要なのは、これだけのことをやっても、著者いわく、今まであった10の被弾が7の被弾に減るだけと述べている。道は険しい。。。

 

【あなたって、どうしてそうなの?!】

 著者いわく、このセリフはどうやら離婚問題へつながっているカウントダウンらしい。このストレスが妻側のストレス耐性があるコップの中に一滴ずつ溜まっていき、溢れ出してから離婚へとつながる。

 小言を言われたからと、すぐに反論するのは小者がやること。収集がつかなくなる前に、「何度も嫌な思いをさせてごめん」と収めるのが、正しい対処療法。

たとえば便座。夫にとっては、「上がっていたら、下げりゃいいだけ」だし、「スリッパを適当に脱いだら、多少見栄えが悪い」くらいのことだ。しかし、もし、妻が便座が上がっているのに気づかず腰を下ろしたら、お尻を便器に打ちつけたり、便器に嵌ってはま しまったりする。これが、年老いた親や小さな子どもであれば、大きな怪我をする可能性もある。子どもに気を取られつつ洗濯物を抱えながら部屋に入ったら、夫が脱ぎ捨てた靴下やスリッパを踏んで足をすべらせる可能性もある。風呂のふたを閉め忘れたら、子どもやペットが落ちて溺れるかもしれない。女性脳は、無意識のうちに、このような先へ先へのリスクヘッジをしているのである。何度言っても改善しないと、「ちょっと不安」「なんか怖い」といった感覚がたまっていって、ある日、閾値を超えネガティブトリガーを 引く。無意識の感覚なので、理路整然と説明はできないのだが、突き詰めてみれば、明らかに高リスクの事象に、女性脳は反応している

 何を大げさなと思うが、彼女らなりのリスクヘッジと言われると、少しは納得できる(わけはないが)。家の中は女性脳のテリトリーと考え、男性脳を有する人間には常にアウェーであることを意識していこう。

妻のトリセツ (講談社+α新書)

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