【感想】12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣 楠本佳子

 子供を持つ親であれば、誰もが子育てで悩むであろう。子供が幼稚園の年長に達していれば、ある程度、コミュニケーションが取れるので、しつけ(この言葉自体が動物のそれと同等のニュアンスがあるので、私は好きではない)を厳しくしていかなければならないと思う。小学校の高学年にもなれば、勉強にしても何にしても、子供も物心がつき、反抗期に入っていくので、しつけるのは難しい。

 まだ可愛らしさ、あどけなさか残る幼稚園の年長や小学校低学年が、親と子供で対話できるゴールデンタイムなのではないかと、個人的には思う。

 本書は、子供の勉強グセをつけるための教育論に思われるが、中身はいだってシンプルな子供との接し方について書いてある。子供との接し方と書いたが、どちらかというとら大人の悪いクセについて、紙面を多く割いて言及している。

 私も本書を読んで、いろいろと反省しなければならないことに気付かされた。今回の感想では、その至らなさを気づかせてくれた内容を中心に、本書を引用していきたい。

 子供が帰りたい家を作っているか?

お母さんが常に怒って、怒鳴っている家があります。お父さん(夫)は、そんな家に帰りたくないから、帰る時間が遅くなります。なかには、あまり帰ってこなくなる場合があります。お母さんはますます機嫌が悪くなり、子どもに当たり散らします。たまに帰ってくるお父さんは、子どもに優しい。当然、子どもたちはお父さんが大好き。お父さんの味方になります。「母親であるわたしは、こんなに一生懸命に子育てしているのに、子どもときたら、まったく子育てに協力してくれない父親(夫)のほうを慕うなんて、ひどすぎる!」お母さんはそう言って嘆き、ますます夫や子どもにきつく当たることになるでしょう。どんどんマイナスのスパイラルにはまっていくのです。

 どこの家庭にもある一コマでしょ?このパラグラフを読んだ時、私はまるでウチの中を見られていたかのような錯覚に陥った。

 マイナスのスパイラルにはまらないためにも、感情のおもむくままに子供に怒鳴り散らさないこと(子供をストレス解消の道具にしないこと)、子供の前では笑顔を見せ家に帰りたい環境にすることが大事であることを気づかせてくれる。

 自分が子供の頃には嫌で嫌でたまらなかったのが、何でもかんでも親が口出ししてくること。その中で最も言われたのが、あれをやれ、これをやれ。それを言われて感謝の気持ちどころか、今思い出しても怒りしか湧いてこない。そんなやる気を潰す言葉を使ってない?

あなたは昨日、一日の中で子どもに何回「しなさい」と言いましたか? 「起きなさい」に始まって「食べなさい」「片づけなさい」、そして「寝なさい」まで、数え切れないほどの「しなさい」を言っているのではないでしょうか。「早く勉強しなさい」「いまからやろうと思っていたのに!」というやりとりは、親子の間でよくあるパターンです。お母さんは、「嘘ばっかり。やる気もないのに言い訳ばかりして」と心の中で思っているかもしれません。「たしかに、やる気はなかったかもしれません。でも、それは親のせい。なぜなら、「しなさい」という言葉が、子どものやる気をつぶしているからです。(中略)親が「しなさい」と言えば言うほど、子どものやる気はどんどん低下していくことになるのです

 そんなこと知ってるよと心の中でつぶやいた時点で、何もわかってない(そこのあなただよ)。これは、親から子へ紡いできた、ある意味で、厳しい語彙(ごい)で例えれば、虐待のスパイラルであると思う。この負のスパイラルから卒業するべき。

 ではどうすればいいんだよと思われた方は、本書の次の文が一助になると思う。

「勉強しなさい」であれば、「勉強どうなっている?」「いま勉強で困っていることは何?」といった質問にするだけで、ただの命令から、子どもの話を引き出すきっかけにもなります。さらに「宿題しなさい」ではなく、「今日の宿題は何?」「どれが大変で、どれが簡単?」「何から始めるの?」「今日の計画を立ててみたら?」と、質問プラス提案をしてみましょう。そうやって、子どもが自分から動くように「誘導」していくのです

 「やりなさい」の一方通行ではなく、(Yes/Noで答えられない)質問と提案をし、子供を誘導するのが、子供のやる気を削がない方法だなと思う。

 ただし、これは一朝一夕には上手く行かない。最初は上手くいかず、イライラも募ってくるだろうが、壊してしまうのは簡単、いつも通りのあなたを出せばいいのだから。子供もそのような大人になってほしくないでしょ?根気よく根気よく。

 ただし、あれやりなさい、これやりなさいの命令は、次の場面では有効となる。もし子供がゲームをやめずに困るようであれば、「何でそんなのもできないの?」、「早けくクリアしなさい」といつも通りの自分を出せばいい。簡単でしょ?

 最後に、子供への習慣づけについて本書を引用して締めたい。いつもランドセルを放り投げて遊びに行く、家に帰っても手を洗わない、脱いだ靴下はほったらかしと不満はたくさんあると思う。そのような悪い習慣をどう刷新させるか?

でも、一度にたくさんの習慣を身につけようと思ったら大変。だから、ひとつずつ意識しなくても自然にできるようになるのが「習慣」です。そうなると、本人も楽です。簡単なものから身につけさせるようにしましょう。たとえば小学校に入ったら、ランドセルは帰ってすぐに決まった場所に置くなど。最初が肝心です。(中略)小さければ小さいほど、習慣は身につきやすいものです。

 ここで大事なのは、習慣はすぐに身につかず絶対にたくさんのフェイル、しくじりをやらかすこと。焦らず、焦らず、じっくり子供と向き合っていきたい。

12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣

12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣